daily life.

ドラマを重箱に見立て隅々を箸で突くブログ。

だいすき!!第1話を、実は見てみた。





この手のドラマを見るたびに、抱く感想は常に、
「難しい」であったりする。

私には体験がない。
人は体験した以上のことは、想像で補うしか術がない。
けれど想像するにも限界というものがある。

軽度の知的障害を持つ23歳の福原柚子(香里奈)が妊娠し、
周囲の反対を押し切り出産、子育てをする、
ドラマ「だいすき!!」

その、第1話を見た。








物語は、柚と同じ知的障害者が集うセンターに通う、
両親を亡くし、親戚一同に引き取りを拒否されたことで、
幼き頃より施設にて生きてきたという、
柚より軽度の知的障害者、沢田草介(中村俊介)が、
交通事故により突如その命を落とすところから始まる。

草介は柚の恋人であり、柚は草介の子を身籠っており、
既に妊娠5か月に入っているという、
堕胎するのであれば一日でも早いほうがいいという段階であった。



知的障害という障害の括りは非常に難しい。
その障害について殆ど無知であるに等しい私にとっては、
知的障害者の恋愛に関する部分も、
妊娠に至る経緯に関する部分も、
深く追及しようとすれば、
ある好奇心を伴うようで躊躇する部分を自覚する瞬間、
その先へ進もうとする己の気持ちを常に怯ませる。

この手のドラマを視聴した際、
私は常にその部分において、
私の中の私の嫌な部分に触れることになるのだが、
同時に、普段はまるで触れることなく生きている、
自分に対し突き付けられる様々を前に立ち止まらせられ、
考えさせられるきっかけを与えてくれる、そういう瞬間をも頂いている。


何が差別か、差別でないか。
どうしたって多分、私がこのドラマを見て感じることの“ある部分”は「差別」だ。
それを激しく自覚する。

しかし、それを自覚しつつ見ることが、多分必要なのかもしれないな、
そこからまずは始めないことには、仕方ないのかもしれないな、
とドラマ中何度も思わせられながら、第1話を見させていただいた。




柚の妊娠は、母親の美代子(岸本加世子)に衝撃を齎す。

読み書き8歳児レベル。
思うようにいかないことがあればすぐにパニックになる娘。
普通に考えて子供を産み育てていくということが可能なはずはない。

子供は、備わった本能により産むことが可能であろう。
しかし、産み落とすことが子育てではない。
子育てというものはそこから始まるものなのだ。


柚の弟である蓮(平岡祐太)は、
姉の柚につきあっている人がいることを知っていたようだ。
知っていたならばなぜもっと早く教えてくれなかったのか!と
祐太を責める母に、「嬉しかったから。」と答える蓮。

姉が恋をしているその姿を嬉しいと思ったと話す蓮は、
姉に子供を産ませてやりたいと母を前に告げるのだが、
なにをおぬかし遊ばれるのか、勝手なことを言ってんじゃねーよなる、
母美代子の言葉には、そうだよなぁ・・と頷かされる。

子供を一人産み落とし、育て上げていくという作業。
産み落とした赤子を、原始的な状態から、
どうにかこうにか自分で自分のことをある程度はできる状態へと
育て上げるまでのあの過程は、
健常者であってもまさに怒涛の日々を経てようやく辿り着く場所だからだ。


必死すぎて、無我夢中で、
そのさなかには考える余裕も振り返る余裕もないが、
今、つくづくと、よくやったよな私、頑張ったよな私と、
自分で自分を褒め称えてあげたいレベルの、子育て奮闘記。


それを知る、柚の母が柚の出産に反対するのは、
当然の感情であるだろう。
ましてや知的障害を持つ我が子を育ててきた美代子なのだ。
その逆を行うことになる娘の子育てに強く反対するのは、
母親として娘への愛情以外のなにものでもないだろう。

希望的観測で済まされるものではない。
それが人間を一人育てあげるということの重みだからだ。


しかし、その一方で、
子育てと言うものの理屈ではなき一面をも突き付けられる。


子を育てるという部分において女は、
多分、本能がその大部分を占める以上は、
柚に子供を産むなという権利は、誰にも何処にもないからだ。







“髪も自分で結うことのできない”柚が、
子供を産み育てていくことは不可能だという母の言葉に、
柚は自力で髪を結おうと、亡き恋人のアパートで格闘する。

何故できないのか、どうして一人でできないのか、
ならばこんな髪要らない!とハサミで髪を切り落とそうとする柚の姿に、
娘の中の出産への強い意思を見た美代子は、
出産を承諾することとなる。


「おかあさんになりたい。
おかあさんのような、おかあさんになりたいのに。」






柚はその後、無事に女の子を出産する。
娘の名は、“ひまわり”

それは、亡き夫である草介の一番好きな花の名であった。





しかし、柚の子育ては前途多難だ。






三ヶ月検診を前に柚宅を訪れた保健師の勝川(余貴美子)は、
柚の様子に子育てはとても無理だと判断し、
せめて乳児期の間だけでも
“ひまわり”を施設に預けるべきではないかという見解を出す。

重箱の隅を突くを目的としているため、あえて触れさせていただくが、
どうみても生後三ヶ月には見えない“ひまわり”の成長ぶりが素晴らしい。

リアル感の追及には、リアルな生後三ヶ月乳児の投入が望ましいが、
柚の激しいひまわり扱いに耐えうる赤子をチョイスしようと思えば、
まだか弱き、リアル生後三ヶ月赤子では、
あまりに危険を伴うのかもしれぬ。

ここは広き心で巨大生後三ヶ月児を見つめるべきなのだ。





柚は、ひまわりの三ヶ月検診を、
母美代子の付き添いなしに、たった一人で連れていくと頑として譲らず、
それでも娘が心配な母美代子が、
検診会場に柚が辿り着くまでをこっそり見届けるものの、
その後仕事場へ出向いた美代子の監視なきあとに、
実は大問題が勃発することとなるのである。


「順調に育ってますよ」という検診結果に嬉しそうに、
家路を辿る柚は、疲れ果てたのか電車の中で転寝をしてしまう。

降りる駅名を告げるアナウンスにハッ!と目覚めた柚は、
あろうことか、愛娘“ひまわり”を乗せたベビーカーを
車内に置き忘れたままで、一人電車を飛び降りてしまうのだ。



扉が閉まったその瞬間、子供を置き忘れたことに気づく柚。
“ひまわり〜〜〜〜!”と叫び電車を追いかける柚の
ただならぬ状態に駅員が駆け寄り彼女を制止する。

そこにたまたま居合わせたのは、保健師の勝川。





幸い、電車内で“ひまわり”を発見した、
どう見ても女子高生に毛が生えたようないでたちの女により、
“ひまわり”は無事に柚の手元に戻ることになるのだが、

福原家を訪れていた保険師勝川の前で、
無事に戻った愛娘を抱きしめながら
“おっぱいのあとはげっぷです”
“おむつかぶれには座浴がいいです”と
育児知識を呟いて、
“ひまわりを施設に取らないでください、
私がお母さんです、私がおむつを替えます”と
懸命に訴える、柚。





“ひまわり”を電車内で発見した女の子は、
柚の通うワークセンターたんぽぽを何故か訪れていた。

“沢田草介”を此処に連れてきてと口にする彼女に告げられた言葉は、
「草ちゃんは死んじゃった。でも“ひまわりちゃん”が生まれたよ。」
という言葉。



一方柚は、もうすぐ始まる“ひまわり”の離乳食を前に、
離乳食の本を丸暗記するほどに、
必死で“ひまわり”の母であろうと頑張っていた。

豪雨の中、自分は傘もささず、
愛しい我が子が濡れぬようにとベビーカーに傘を差す柚。






ぶつぶつと離乳食の本に書かれた育児の注意事項を呟きながら、
全身ずぶ濡れで自分の目の前を通り過ぎていく、
そんな柚の姿に保険医勝川は傘を差し出し、家まで柚を送る。

そして柚の部屋に貼り巡らされた、
育児のあれこれ知識をクレヨンにて書いた決意の紙を前に、
「どうして貴女はそうなの!?」と憤る。


こんなものを徹夜で作り、雨の中を歩いて――。

それがこの子のやり方であると母の美代子がフォローするのだが、
勝川は毅然と柚に言い渡す。

母親が倒れてしまえば、誰が“ひまわり”の面倒を見るのか、
赤ちゃんのために、まずは自分が健康に気を付けること、
何でも一人でやろうとせず、
貴女のその愛情で、
ひまわりちゃんをしっかり育ててあげて欲しいという勝川の言葉に、
柚はひまわりを施設に取られることなく、
自分の手で育てることができるのだということを理解したようだ。
柚の目より溢れる大粒の涙。


更に勝川による、柚の母 美代子への、
「産ませてあげて良かったですね。」という言葉は、
美代子にとってもどれほどに、嬉しい言葉であったことだろう。







その先は、突然公園をてってけてと走れるほどに、
突如2歳児レベルへと成長を遂げたひまわりの姿に一瞬驚かされたのだが、
一番原始的に忙しい育児月間を、柚はどうやら自力で乗り越えたようだ。

その部分が映像的に一切カットされていたのは、
ちょっと残念ではあったが、
柚の子供が社会とのつながりを持つ=保育園児となったその先のほうが、
本当の意味で知的障害者の子育ての大変さが始まるということなのだろうか?

物語の舞台はそういうわけで、次週より
2歳児ひまわりと柚を中心に進みだすようだ。


一方、第1話の最後に福原家に突然やってきたのは、
電車に置き去りにされたひまわりを、
引き取り手=柚の弟 蓮が来るまで
ずっと見ていてくれたという例の女だったのだが、

てっきり女子高生だとばかり思っていた私が、
え!?高校生じゃなかったのか!と此処で驚かされたのは、
彼女が蓮を前に口走った、


「私、沢田琴音です、沢田草介の妻です。」


という言葉のためであった。



だが、この世にドラマの公式サイトがある限り、
そこにある人物相関図や次週のあらすじ紹介により、
この琴音という女が、草介の妻などではなく、
視聴者の予想をちっとも裏切ることなく、
「妹」であるということは既にバレバレだ。
ドラマでも次週あっさりと露呈されてしまうようなので、
私もここでとっととネタばらしをしておこう。

しかしだとすれば何故わざわざ「妻です。」などという
衝撃発言にて第1話を終えたのか、と
公式を確認した際に、私の中にドラマだいすき!!への
ぬぬぬ感が若干漂ったことは否めない。


次週への視聴者の期待感を視聴へと繋げようという魂胆が、
見え隠れするようなやり方は如何なものか。

いっそほんとに妻であったのなら、
おお、なんと意外な展開であることか!と思うだろうが、
2話目ですでにわかる「実は妹」ということであるのなら、
なにもわざわざ妻発言を1話の最後に持ってくる必要はないであろう。

これは原作にもあった発言なのか?
もしそうならばそりゃ仕方のない話だが、
テレビ版のオリジナルな台詞なのであれば、
ヘタな小細工はせずに、
本来の目的通りのドラマストーリーで
真っ向勝負を仕掛けてきて欲しい。



ドラマ全体の印象としては、
当然ながら、鹿男あをによしの飄々とした世界観とはま逆の世界だ。
どちらかをビデオに撮られて見るおつもりの視聴者は、
あまりのギャップに脳内変換が追い付かないと思われるので、
若干次を見るまでの時間を空けることをお勧めしておこう。

とりあえず、岸本加世子の演技が熱い。
他の出演者が普通に連ドラご出演中であるとするならば、
岸本加世子だけが蜷川幸雄演出の舞台で演じているかのごとく
のっけからやたらに熱い演技を披露されている。

個人的にこういうタイプのドラマは、
役者の感情が必要以上の熱きテンションにて
ぐおーーっと此方に来られると、
逆にちょっと距離を置いて引いて見てしまうという傾向が
私にはあるのだが、他の方はそうでもないのであろうか?

何様俺様ふうゆ様の独断と偏見としては、
みんな、もう少し淡々と抑えてみないか?という
印象を受けてしまったのだが。


それから見終えて、もひとつ私の琴線に触れてこなかったのは、
柚の知的障害のレベルがいまいち分かりにくかったことだ。
どの程度のことが可能で、どの程度のことが無理なのか?
その部分の説明はこれからドラマのストーリーが進む中で
明らかにされていくのであろうか?

それがいまいち分からないので、ドラマの間に何度か、
「あ、これは理解できるのか。」
「でもこれは無理なのだな。」と考える時間が邪魔をしてしまい、
物語に入りきれなかった部分があったような気がする。

要するに私のような隅つつきな視聴の仕方をしていると、
素直に感動することができない、
典型的タイプのドラマであるということか。


しかし2話以降、本格的に柚と柚を見守る者たちの前に、
難問山積み状態がご提供されることになると思われるが、
何度もドラマで見てきた、
この手のドラマのパターン的内容になるのかそうでないのかで言えば、
若干前者の予感もうっすらと漂うところに、
うむむという私の懸念も少々遠慮がちに添えておくことにしよう。


“ふくはらひまわり”という名前に、
はらほれひれはれと同じ語感を感じつつ、
次週「だいすき!!」第2話にて、
もしかすれば此処にてお会いいたしましょう。







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